枇杷

知人の枇杷農家を訪ねた。
ちょうど出荷の真っ盛り。3月からずっと働きづめ。
連休でようやく時間がとれたのだが、少し迷惑な訪問になった。
それでも、快くもてなしてくださった。
出荷できないということで、熟れた枇杷を勧められた。
捨てるしかない、との言葉に複雑な思いに。
熟して食べころの枇杷は、市場に出荷し、店頭に並ぶころには、
味も、見た目も悪くなる。
「たくさん食べて」とのお勧めに、おそるおそるいただいた。
大粒の枇杷は、酸味が抜けて、ほんのり淡い甘みが。
これが、もぎたての茂木枇杷


店頭で見た目が良いように出荷する。
その言葉の中には、なんとも言い難い矛盾が含まれている。
まごころを込めて育てた枇杷の果実。
最良の状態で消費者へ届けたい。
そのためには木で熟したものがベスト。
しかし、その状態で届けることは、現状では無理。

ほとんど都会へ出荷し、贈答用として販売される。
スーパーで販売するには価格が高くて売れない。
安くて、美味しいものを、消費者に喜んで買ってもらい、
それを励みに、生産する。
こうした循環が、できていない。
ここにも流通の仕組みの限界を感じた。


この写真は、お土産にいただいた枝付きの枇杷
通常は袋がけがされていて、こうした光景は見ることができない。
大粒の立派な枇杷だ。