一に雇用、二に雇用、三に雇用!

現実を知らない民主党の労働者派遣法改正案」という記事の抜粋。
もどかしい気持ちを、文章に表現していただき感謝。
この記事にあるとおり、雇用状況は壊滅的だ。
現政権は、失業者のことをまったく理解していない。
雇用が創出されない状況がずっと続いている。

 雇用不安が増しているこのタイミングで、民主党はなぜ企業を追い込むようなことをするのだろうか? それは、民主党が現場を知らない古典的労働観、企業=悪という社会主義の教科書で染まった人たちで動かされているからにほかならない。

 労働条件の改善は、働いているからこそ求められることだ。職を奪われてしまえば、労働条件の改善などとは言っていられなくなる。派遣禁止反対の理由で二番目(一番目の理由と小差!)に多いのは「派遣で働けなくなる」で、派遣社員の65.9%がそう回答している。彼らは派遣法改正によって、働く場すら奪われることを懸念しているのである。

 菅直人首相は「一に雇用、二に雇用、三に雇用!」と叫んでいるが正気の沙汰(さた)ではない。この100年間、先進国で雇用を目的として成功した政府はない。税金をドブに捨てるようなことをして雇用を作ることはできるが、それは持続しないし、投入した以上の効果が出ることもない。

 地方では時給680円、700円レベルでの攻防が行われている。そんな中で1000円まで上げたら、人件費は3割増、4割増になる。企業にとってはコストが膨れ上がるわけだ。企業努力で解決できるような話ではない。結局は、サービスを受ける消費者に「価格上昇」という形でしわ寄せが行くだろう。その結果、サービス産業を支える企業も、サービスを受ける消費者もダメージを受ける。もちろん、そこで働く労働者も被害を受けることになる。

 どうだろう。こういう現実の問題点が見えれば、雇用を増やすために政府が整備することが見えてくるのではないだろうか。「雇用!」と叫ぶオバマ大統領の人気が急落しているのも、叫ぶだけで現実が改善されていないからである。民主党も、労働者のためになることをしたいのであれば、まずは労働者の現実を知ることから始めるべきだ。

相談者を前に、打つ手がない状況が続く。
何を示せば良いのだろう。
提示する求人がない。
そのような状況で、わたしは何が出来るのか。
日々、悶々としながら相談者と向かい合っている。


追加(10.10.16)

 派遣法の改正案はまだ成立していませんが、改正されることを見越して、派遣労働者は顕著に減っています。「労働力調査(詳細集計)」の平成22年4〜6月期平均の2ページ目の図2を見ると、労働派遣事業所の派遣社員は、平成20年、つまりリーマンショック直後に146万人いた派遣社員が、今では90万人と、3分の2ぐらいに減ってしまっています。


 問題はこの人たちがどうなっているのかということです。正社員の増加につながったり、直接雇用の期間工の増加につながったりしていればいいのかもしれません。しかし、いわゆる請負作業に戻ってしまったとしたら、かえって労働条件は悪くなってしまいます。また、派遣労働者が減った分を正社員がカバーしなければならず、長時間労働の増加という問題もあるでしょう。


 あるいは、コストが高過ぎるからと、海外進出をする企業もあります。規制の強化がどんな影響を及ぼしているのかは非常に大きな問題です。
→ 「最低賃金800円」でワーキングプアは解消されるか