好きなこと

昔、好きなことをしていては食べていけない、といわれていた。
絵を描いていても生活できない、英語が話せても生活していけない。
そういう事情で電気工学部へ進学した。いや、進学させられたということだ。
好きなことをしていては、生活できない。
これは、当時の社会が発するメッセージであった。

親がこれに影響を受けたことを責めることはできない。
必死で働き、どうにか生活していける、そういう時代背景がある。
40年くらい前の時代。世代のギャップがある。
そこで判断し、選択した。
残念ながら、時代は好きなことをしないと、糞詰まるような社会になった。
自分のやりたいこと、好きなことをとことん追求する時代だ。


好きなことをしたら食べいけない。
だから、食べていけること、稼げることをやる。
しなければいけないことをやる。
多くの人が、自分も含めて、こうした図式で生きている。
だから改めて自分が好きなことをせよといわれても、戸惑ってしまう。
これがキャリアカウンセリングが必要な理由だ。


対して、国が推し進めているのはキャリアコンサルタント
カウンセリングという、個人に対するケアよりも、
生きるために何をするかという、キャリア=職業選択に対する旗振り役を、
国は養成し、広く配置しようとしているような。
だんだん、その全貌というか、背景が見えてくる。
個人へのケアよりも、企業、組織への配慮が見え隠れ。
所詮、お偉さんたちが、机上で考える論理なのだろうか。


自分が目指すのは、キャリアカウンセラーということ。
自分自身の青春のほろ苦さを、なんとか生かしたい。
もうすこし「まともに」生きていけるような、なにかがしたい。
そういう思いだ。
試練も、苦労も必要だ。
しかし、本来の目的を持ち、そこに至るには智慧もいる。
知識だけではない、考え、判断できる智慧が。
そうしたことを伝えるには、よい年齢になったのだろう。
経験と自分自身の知識、智慧を、伝えたい。
そういう思いが、今後自分がやりたいことの一つと知った。