トランジション

人ごとと、自分ごとが入り交じりながら「トランジション」を考えている。
仕事として、相談者に何を示せばいいのか。
年代により語る内容は違っても、いすれも「トランジション」状態は共通している。
これまでが終わり、これからを始めようとする。
自分自身もそうだったが、現職につくまでの期間がこれに相当する。
自分にとっては、キャリアカウンセラーという道があらたに始まった。
そして、目の前にいる人々に対し、トランジションを語る立場に。

 ブリッジズ氏のいう「トランジション」は、日本語では「過渡期」と訳すのが一番分かりやすいでしょう。例えば、転職を想像してみてください。現在の会社を離れようと思い始めてから転職活動を行い、別の会社での採用が決まって、新しい会社で働きだすまでの期間がトランジション、すなわち過渡期です。
 ブリッジズ氏は、トランジションには以下の3段階があるとしています。
第1段階……何かが終わる
第2段階……ニュートラルゾーン
第3段階……何かが始まる
→ 過渡期を乗り切るトランジション理論

多くの人にとって、受け入れがたい事実。
受け入れがたいながらも、次の仕事を探さなければという焦り。
この状態が、ニュートラルゾーンと称されるときだ。
ここで、わたしは何をすべきなのか。
できれば、キャリア理論を紹介したい、そう考えてブリッジズ氏へたどり着いた。
キャリアデザインという考え方が必要だ。
一人ひとりが異なる歩みをしている。
その歩みを、キャリアとして位置づけ、これまでと、これからを考える。
ニュートラルゾーンでしかできないことなのだが、
避ける人が多い。
やりたくない、面倒な作業だ。


派遣という仕事形態は、こうした考えを派遣会社に委ねることになる。
自分のキャリア形成を、会社任せにしてしまう。
考えなくても、自動的に自分のキャリアもどきが示される。
行くべき道が、自動的に用意されている。
選べばいいだけだ。自分の好みで。
食堂で、定食をたのめば事が足りるように、
会社で示された仕事を選べば良かったのだ。
こうして自分で考えることをせず、派遣会社に依存する人々が増殖した。


それが、突然放り出されて、自分で考え、選べと迫られている。
介護は、農業は、警備会社は...
考えたこともないメニューを示され、選択を躊躇する。
多くの場合、戸惑うのが当然だろう。
機械相手の製造工が、いきなり老人や自然を相手に仕事しろといわれても。
政府は予算を配分し、アイデアを示せば、雇用創出できると考えている。
なんとか訓練すれば、介護も農業もうまくいき、
失業者を救えると考えている。


自分の課題としての「トランジション」と、
相談者への支援としての「トランジション理論」。
この二つが混在しているので、少しゴチャゴチャしている。
自分の打開策が、相談者への回答となるのかもしれない。
自分の内なる声に聴くことと、外なる声としての読書。
バランスの問題だろうが、以前のように書籍を購入して学ぶか、
自分の内面に入り込んで、答えを探すかで、考えている。
自分なりの、という意味では、沈思黙考だろう。
いずれは、キャリア理論も自分なりにまとめたい。
それまで、ここのリンクを利用させてもらうことにしよう。


>エンジニアも知っておきたいキャリア理論入門 バックナンバー
 第1回 キャリア理論は役に立つ?
 第2回 スーパー理論でキャリアの全体像を考えよう
 第3回 適職探しに役立つホランド理論
 第4回 シュロスバーグ理論で転機をうまく乗り越えろ
 第5回 シャイン博士と8つの職業人タイプ
 第6回 デール博士と5つのキャリア志向
 第7回 クランボルツ理論の「計画された偶然」
 第8回 行動しながら考える。イバーラ博士の型破りな転身術
 第9回 ブリッジズ氏の過渡期を乗り切るトランジション理論
 第10回 自分の価値観でキャリアをつくるスローキャリア論
 第11回 金井壽宏教授が提唱する「節目」のキャリア論
 第12回 夢や目標がなくても成功できる「自分軸論」
 第13回 エンプロイアビリティを高める「キャリア仮説」論
 第14回 選ばれるエンジニアになるためのブランド力を養う