ジョブカード、その後

基金訓練の講師募集が目立つようになった。
古くからある専門学校が、
あらたに3カ所、医療事務、簿記の講師募集。
近くでもパソコン講師募集。
他にも、販売登録者、介護士エステ講師などの求人が。
それに加えて、教室運営責任者、就職アドバイザー、事務員などの募集も。



来年度は、基金訓練バブルになるようだ。
廃止と仕分けされたジョブカードが、
ハローワークの主管となって復活しそうだし、
訓練修了後は、就職支援のメイン事業になるのだろうか。


ジョブサポーターや支援員の増員を、
雇用対策と考えると納得するが、
そこまで検討された結果なのだろうか。
「コンクリートから人へ」のスローガンが、
行き場のない求職者への、支援業務強化となって実現。
緊急雇用事業の一環として、サポーターが増員。
そう考えると、分かりやすいのだが。


ひさしぶりに、横浜の友人とスカイプ
経験がなく、就職が難しい若者が多いと現状を話すと、
経営者の立場からは、未経験で雇い入れ、
技術を教えて経験を積んだあと、辞めていかれるのは辛いとの返事。
意外な返答に、戸惑った。
若者を育てるという意味では、同じ目線だが、
経営者と就職担当者という関係で見ると、状況が複雑に。


求職者からしてみれば、なんとか仕事にありつきたい。
そのためのスキルを、訓練などで身につけ、就職したい。
経営者は企業全体の視点から、従業員を見る。
従業員にもそうした視点があれば、同じ意識を共有できる。
世のため、人のため、会社のために、自分も生きる。
そう考える人が、どれくらいいるのだろう。
多くの人が、自分の生活、自分の家族と、
自分の都合を最優先に考える。
ここに、企業で働くことの難しさがある。


意識のズレなのだが、求職者の多くは、
その意識のズレに気がつかない。
保険の有無、給料の額、休日の多さなど、
まずは、自分自身の都合から応募を考える。
自分は何ができるのか、何を会社に貢献できるのか、
といった発想ではなく、
会社が、自分に何を与えてくれるのか、という視点。


人手が足りない時であれば、
会社はさまざまな条件を提示しながら、人を集める。
バブル期は、まさに引く手あまた状態だった。
派遣労働者も、同じような経験をしてきた人が多い。
派遣会社から示される条件の中から、自分の都合の良い作業を選択。
時間から時間まで、指示されるままに動く。


企業が従業員として求めるもとの、
求職者が企業に求めるもの。
善し悪しは別として、そこに大きなズレがある。
このズレを、求職者にどう分かってもらえるか。
そのためにジョブカードが使えればと思ったのだが、
ジョブカード作成目標、300万件などという指示が出ると、
標数達成に力が入り、肝心の求職者の意識を変えることは、
かなり難しい。
いずれにしても、求職者自身が意識を変えない限り、
この超就職氷河期を乗り越えて、
新たな世界へ漕ぎ出していくことは難しいのだろう。


>週刊 Doyoo( no.26)