日本語入力・再考
立春をすぎ、新たな季節の始まりを感じられる暖かさに。
日本語入力という分野にも、
「7Notes」というAPPの登場で、新たな春の訪れを感じた。
「(iPadは)すごいなあと思いながら、ここが足りない、あそこが何とかなればと議論していた」と話すのはMetaMojiの浮川和宣社長。そんな社長が「これなら使えるね」と確信したのが、同社が2月3日に発売したiPad用デジタルノートアプリ「7notes(セブンノーツ)」だ。同日、都内で記者会見を行った。
→ iPadが「これなら使える」―「7notes」に自信
詳細は、リンク記事や、
記事の下の方にある発表記者会見のビデオを見ていただきたい。
その昔、日本語の入力方式が乱立していた時代があった。
最初に登場した日本語ワードプロセッサー(ワープロ)では、
日本語をどう扱うか、各社バラバラだった。
キーボードも、現在のようなJIS規格だけでなく、
五十音式や親指シフト方式などがあった。
→ 日本語ワードプロセッサ(コンピュータ博物館)
変換方式にしても、かな文字変換、ローマ字変換などが乱立し、
タッチタイピングも、それぞれへの対応が求められた。
そうした中で、日本語ワープロソフトとして定着したのが、
ジャストシステムの「一太郎」だ。
発表会見のビデオでも自らお話ししているが、
スペースキーを使った漢字変換方式を提案したのが、浮羽社長だ。
「一太郎」は、バージョン4.3まで付き合ったと覚えている。
その後は、MacとWinの行ったり来たりで、
その時々のワープロソフト使ってきた。
「Word」に関しては、いまだに好きになれない。
だからと言って、いまさら「一太郎」にも戻れない昨今だ。
早々、「7Notes」をダウンロードした。
小一時間しか使っていないが、文字通り、手に馴染む。
指先で書きながら、文章が作成されていく様は、なんとも心地よい。
手書き文字そのままでも良いし、
手書き文字をフォント変換してもOKだ。
ご夫婦でジャストシステムを立ち上げられた。
ご主人がアイデアを出し、奥様がプログラムを作成。
日本でも異色のカップルだと思う。
「一太郎」を文字通り子供のように生んで、育ててこられている。
日本のワープロ文化に多大の影響を与えた方々だ。
今回の発表も、早々ネット上で話題となっている。
「ATOK」という、日本語変換ソフトは今でもお世話になっている。
それでも、影がだいぶ薄れていると感じていた。
発表のプレゼン動画を見ながら、
一太郎が普及していくときと同じような、ワクワク感を持った。
個人的には、「Word」は大嫌いだ。
できるだけ使いたくない。
これは、自分自身のマイクロソフトへの感情と重なっている。
ユーザーの使い勝手を無視して、メーカー独自の使い方を強いる。
アメリカ型民主主義を正義として、世界中にその実行を強いる姿と重なる。
日本国は、なぜ日本語人が使いやすいワープロソフトを開発し、
ネット上に無料で配布しないのだろうか。
これは、昔からずっと思っている疑問の一つだ。
原稿用紙、縦書きを旨とする日本語の文化に対して、
タイプライター用紙を前提とした、横書きの欧米方式ワープロを、
なぜ、日本語人が、国の資金を使って学ぶ必要があるのだろうか。
国策として、ジャストシステムを国営化し、
文科省あたりが、無償で学校などの教育機関、役所などへ配布し、
今後、日本語の文書に関しては、これでいくと宣言すれば良いだけだろうに。
相撲が国技かどうか、騒がしいが、
それより、もっと本質的な問題として、
こうした日本語の文字処理は考えられ、議論されるべきだと思う。
残念ながら、こうした議論が大きく世間を動かす例を知らない。
日本の伝統文化を守るとすれば、
国民の最も根底にある日本語という「ことば」の扱いに、
無頓着でいいのだろうか。
日本語人に合った日本語処理ソフトは「Word」で良いのだろうか。
さらに進んで、アメリカ式キーボードで、
ローマ字入力だけの日本語文書処理方式って、
日本語人にとって、最適な選択肢なのだろうか。
いろいろと、考え込んでしまった。
→ iPad - 7notesがすごすぎて感涙しそう
→ 浮川夫妻が手がけたタブレット向け手書き認識アプリ「7notes」
→ iPad日本語入力環境の本命?
→ ランディノート