コワーカー

人は一人では生きられない。
人と人が集まり、人々となる。
人々が多くなれば、組織ができる。


一人だと、自分自身の思い通りになる。
人と人が集まれば、相手を考えることが必要になる。
さらに、人々が増え、組織になると、
多くの相手を考えることが不可欠に。



一人では生きられないが、
さりとて、組織の中でも生きにくい。
個人と組織の問題。
古くて、新しい、どこにでもある問題だ。


友人からのメールで、「コワーカー」について知った。
「一緒に働く人」という意味だから、おおよその事は検討ついた。
調べてみると、IKEAという会社のページにたどり着く。
→ コワーカー - Google 検索
この会社に特別の思い入れがあるわけではないが、
その考えには興味を持った。
→ IKEA | 一緒に働きませんか


その理念は、とても共感がもてる。


「家が世界で一番大切な場所」(⇔会社は世界で一番大切な場所・・・ではない)
「子供が世界で一番大切な存在」
⇒人の日々の生活に会社として焦点をあてている


「コワーカー(coworker)の一人ひとりが、このことをどうやって、キープするかを考えよう。社員として、一人の人間として生きる意味を考えよう」というメッセージを込めている。
IKEAでは、上司、部下、フルタイム勤務、パート勤務などの属性の違いで呼び方を変えていない、全ての社員を「コワーカー(共に働く人々)」と呼んでいる。人のマインドセットに言葉は非常に大事だと思っている。
→ イケア流仕事術<何事もシンプルに>(PDF)

日本社会での、「個人と組織」の考え方。
あまりにも、対照的だ。


ともすれば、表面的な動きだけしか見えない。
「コワーカー 」が、単なる言葉として流行れば、
一過性のものでしかなくなる。
肝心なのは、そういう理念〜考え方を理解し、共有すること。
これまで、いくつもの言葉が現れては消えた。
そのどれもが、理念の共有ができなかった結果だ。


「個人と組織」を考える場合、
理念の共有ができない限り、
どんな制度も、スローガンも機能しない。
最近よく耳にする、
ワークライフバランス」なども、同様だ。
職場のメンタルヘルスと称して、
どんなに気をつけましょうと呼びかけても、
その本来の意味を理解しないままでは、
職場で病む人の数は、減らないだろう。


美辞麗句で飾られたスローガンではなく、
一人一人が、自分自身の生き方として、
どのように働くかを考えるときだ。


「子供が世界で一番大切な存在」と考えると、
子供たちを育(はぐく)む家庭はどうあるべきか。
そして、親はどのような生き方をすべきか。
もう一度、わたしたちは原点に戻って、考える時なのだろう。
そういうことを考えさせられた「コワーカー 」との出会いだった。