冷たい

応募書類に記された携帯番号へ電話をしたが、
「お客様の都合で... 」、連絡が取れない。
なぜ、こういう状況になるのか、と問われた。
なぜ、と聞かれてもと思いながら、
調べてから、電話すると伝えた。



記録には固定電話番号の記載はなかったので、
携帯電話が繋がらないとなると連絡がとれない。
どうすることもできない。
そう考えて、連絡をすると、
「冷たいですね。」と、一言。
これまで受け取ったことがない応答に、
一瞬、言葉を詰まらせた。
先方は、
「ほかの所だと、ハガキなどで知らせたりしているが、
おたくはそういうことはしないのか。」と、続けた。


「冷たいですね」という言葉に、ハッとした。
冷静に考えてみれば、その通りだ。
支援を生業(なりわい)としているのに、
日頃の忙しさからか、思いつかなかった。


電話連絡が取れない場合、郵便で連絡をとる。
言われてみれば、当たり前のことだし、
どうしても連絡が必要な場合は、そうしていた。
それが、今回は思いつかなかった。
こころの奥に、はじめからダメだという意識があり、
それが先方に「冷たい」と映ったのだろう。


後から振り返ると、なんだか得をした気持ちになった。
応募する人のことを、そこまで考えている企業がある。
書類選考で、いきなり門前払いが多い昨今、
こうした企業の姿勢に、かすかな光を感じた。
世の中、捨てたものじゃない。
さっそく、その旨を書いた手紙を郵送することにした。


「冷たい」と言われたとき、なぜハッとしたのか。
自分は、その時どういう気持ちだったのだろう。
他人は、自分の心を写す鏡だ。
相手から伝わる言葉は、自分のいまを映している。
「冷たい」ですねと、相手は感じた。
その感じたことに対して、言い訳は無意味だ。
そうですね、申し訳ありませんとしか言えない。
意外な一言に、ハッとさせられた一日だった。



若干、見飽きた感があったので、
久しぶりに、ブログデザイン変更。