林檎道

今週は、道を探す若者と多く話した。
いずれも、自分の進むべき道を探しあぐねての相談だ。
今更との思いはあるが、
やはり、自分の気持ちを記さないわけにはいかない。


出会いは、25年くらい前になる。
英語教育学会の集いで、
高田馬場の、とあるビルと記憶している。
語学学習の教材制作会社に勤め始めたころで、
これが、林檎社との初めての出会いになる。


数年後、池袋サンシャイン60の教育機器展示場。
英語を話すMacintoshと遭遇した。
音声合成ではあったが、その衝撃はいまでも忘れない。
それ以来、林檎社への思いは変わらない。
まったく、ブレていない。


その後、Macintosh SEを購入。
専門学校に就職してからは、
文字通り林檎社の伝道師のような歩みだ。
マルチメディアコースを立ち上げ、
Macを導入し、これからはMacだ、と突っ走った。


残念ながら、学校はいつしか「窓」で一杯になり、
「窓」の開け方ばかりが注目された。
それでも、なんとか踏ん張ったのだが、
力つきて、学校もろとも崩壊した。


学校を去る最後の年に、iPhoneが発表された。
そのときの授業をいまでも思い出す。
紙でiPhoneの型を切り抜き、
発表のWeb記事を、プロジェクターで見せながら、
これが世界を変えるだろうと、予言者もどきの事を話した。


携帯電話は、なぜか馴染めなかった。
自分が欲しいのは、電話機能ではない。
まして、文字だけしか使えない携帯に、
ほどんど魅力を感じていなかった。
「窓」が小さくなっただけのようにしか思えなかった。


そして、iPadが登場。
「これだ!」と、直感的に思った。
自分が欲しい考えていたものと、林檎社が発表した製品が、
ピッタリと合った。
発売の予約が始まると、即ボタンを押していた。
林檎社の道にたどり着いた瞬間だった。


いま、MacBook Airを使って、文章を書いている。
机には、
iMacMBAiPadそしてiPhoneが揃っている。
どれもが、それぞれの個性を主張している。
その個性を使い分けることで、
自分自身の持てる力を発揮することが可能になる。
まさに、個人をエンパワーするための道具だ。


「窓」製品と異なり、林檎社の製品は、
どうしても手放したくない。
いまだに、家の中にはこうした製品が、
あちこちに隠れている。
それぞれが、自分が通って来た道標となりながら。


楽しかったな。
林檎社がなかったら、
自分の人生は、どういう歩みになったのだろう。
林檎道を歩いて来たおかげで、
とても幸せだったと思っている。
林檎道の導師が、天国へ旅立った。
文字通り、iHeavenへ行ってしまった。
iCloudを残して。


心から冥福を祈りたい。
感謝そして合掌。


Thanks iSteve!