ポストPC

Cook氏によれば「ポストPC」とは、つぎのような定義になるらしい。

Cook氏は「ポストPC」について次のように定義していた。「われわれが話をしようとしている世界では、パソコンがデジタル機器の主役の座を明け渡し、さまざまな機器のなかの1つに過ぎなくなる。みなさんがいちばんよく使うデジタル端末は、これまでに存在したどのパソコンよりも携帯性が高く、よりパーソナルで、しかも劇的に使いやすいものである」。


この定義をふまえれば、「ポストPC」というのは、携帯型で、個人向けで、使いやすいものということになるが、それとは別にあるパラダイム──パソコン一辺倒ではなく、いろいろな種類のデジタル端末が存在するパーソナル・コンピューティングの新しいパラダイムを意味するものとも考えられる。


http://wired.jp/wp-content/uploads/2012/03/fighting-words-what-apples-means-when-it-says-post-pc.jpg
→ アップルが先導する「ポストPC」革命の意味

要は、PC〜いわゆるWindowsマシンが使われなくなり、
スマホとかタブレットなど、携帯機器が普及し、
仕事や生活のスタイルが一変すると、考えれば良いだろう。


背景には、キーボードを主としたPC自体の使いにくさが存在する。
そもそも、欧米の文字書き道具であるキーボードで、
日本語を処理せざるを得なかったところに、
PCの使いにくさの一因が潜んでいる。
タッチタイピングなどと称して、
延々とアルファベットのキーを覚えなければ、先へ進めない。
高齢者の多くは、この時点で脱落する。


かなや漢字などを覚えたての子供たちにとっても、難問だ。
いつごろから、ローマ字入力を教えれば良いのか、
多くの親や教師の悩むところだろう。
ポストPCの動きは、こうしたPCを使いこなしていない人びとを中心、
徐々に拡がると思われる。
要は、脱PCであり、その代替品の登場だ。


第3世代のiPadが発売。
音声入力、手書き入力などが、実用レベルに到達したようだ。
Siriによる、日本語会話の実現。
いまだ発展途上ではあるが、今後の改善を踏まえると、
かなり強力な入力手段となるだろう。
さらには、日本語の手書き入力。
これに関しては、以前の記事で触れたが、
ハードの性能がアップすることにより、
手書き入力が、日本語入力の新たな方法として、大いに注目されるだろう。


こどもの時から、漢字入力が当たり前になり、
キーボード自体が、入力の選択肢のひとつとなる。
人々は、自分に適した入力の方法が選択可能。
一人でいる場合は、音声入力、
教室などでは、手書き入力など。
キーボードに挫折した高齢者の方は、
手書き入力で、俄然パワーを発揮する可能性が出てきた。


これまでPC弱者とされ、情報化社会に取り残された人びとが、
ポストPCの機器を使うことで、
情報格差の壁を乗り越え、
情報化の波に乗ることさえ、可能になる。
世の中の情報化の波が、よりいっそう進展し、
一人一人が、情報発信できるようになる日も、それほど遠くないと見ている。


地味だが、しっかりと足腰を鍛えて登場したNew iPad
評価は分かれるが、多くの人に歓迎されたことは間違いない。
音声入力、手書き入力、キーボード入力などなど。
各人が、各様の使い方で、ポストPCの端末を使いこなす。
新たな価値観、多様性の花が大きく開くときを迎えたと感じている。



リンク集
→ 三百十四万五千七百二十八聞は一見に如かず