iPhoneと語学の学び

そもそもコンピュータとの出会いは、言葉の学習だった。
アメリカでとある団体の事務室で、
知り合いの女性が便利なタイプライターとして紹介した機械。
タイプミスが修正できる文書作成マシン。
いま当たり前になった「ワード」(ワープロ)の前身だ。
いまでこそ「ワードとエクセル」が使えることが、
就職の前提のようになっているが、
これは20年前を考えると、あり得なかった話。



日本語を欧米人に教えていた。
パナリンガという小さい日本語教師養成教室。
そのころは、日本語教師のライセンスなどなかった。
手書きの教材やテキストが綺麗にできないか、
マジック片手に思案に暮れていた。
教材作りそのものは嫌ではない。
だが、もう少し簡単にできないものか。
そこで知ったのが「ワープロ」という機械。


中国語を学んでいた。
台湾の師範大学での学び。
適当な辞書もなく、台湾式の注音形式のテキストで。
一つの漢字の意味、読みを調べ、
それを覚え、発音できるまで、
とても苦労した。
台湾から戻り、中国本土で使っている拼音(ピンイン)で学び直し。
電車で通勤途中に、本を拡げて音だし。
隣の人に気がつかれない程度に、本を音読。


こうした経験から、コンピュータを使った語学学習ができないか。
新しい機械が出るたびに、試した。
パソコンはMS-DOSマシン時代から、中国語処理を試みた。
台湾から中国語のマシンを持ち帰ったことも。
WindowsマシンはWin 95から始まった。
この前身であるWIN 3.1は見送った。
そして、Macintoshとの付き合いが始まった。


総額50万円を超えるリースを組んで、HyperCardというソフトで挑戦。
音が録音できる、いまでは当たり前だが、
当時としては画期的なマシンだった。
中国語のフォント(字体)を購入し、なんとか中国語が扱えるようになった。
だが、とても使える代物ではなかった。
あれから20年近く。
一緒に遊んだ長男は20代半ばになり、
気がつけば、コンピュータ技術では教えられることが多くなった。


そして、iPhoneの登場だ。
iPodが発売されたとき、これは語学学習に使える、と思い購入。
英語、中国語の音声テープを入れ、通勤途中のバスで聞いた。
英語の学習としては、申し分ないと思った。
リスニングに関しては、テープより扱いやすい。
ただ残念なのは、テープのように巻き戻しができない点だ。
これは初心者にとってはつき合いにくいだろう。
演説とか小説、ニュースなどを聞きながら学ぶためなら、
大いに使えるだろうが。


車での移動が多くなった。
バスや電車での移動時間が減り、iPodでの学習は減った。
そこへiPhoneの発表。
iPod touchも気にはなっていたが、購入までには至らなかった。
iPhone購入して半月余り。
だいぶ仕組みなどが見えてきた。
思い切ってタッチパネルを使ったインターフェースに切り替わった。
これは使える!
検証はこれからだが、この数十年考えてきた機能が、
ほぼ盛り込まれている。
いじってみた感想だ。


語学の学び材、これがコンセプトだ。
教材は、教師が教えるための材料。
それに対し、「学び材」は学ぶための材料。
どちらの視点に立つかで、素材は異なる。
教える教師にとって都合の良い素材か、
学ぶ者にとって、学びやすい素材かの違い。
似て非なる考えだ。
これから必要なのは、学び材だ。
この学び材を開発するためにコンピュータ世界に飛び込んだ。
いま、改めて原点を確認し、再出発を目指すときなのかもしれない。


>リンク集
→ iPhone は最強の語学学習ツール(1)
→ iPhone は最強の語学学習ツール(2)
→ iPodで英語学習
→ iPhone SDK for iPhone OS 3.0
→ Developing for iPhone OS 3.1