情けない

情けない。
自分でどうにもできない状態で、浮かぶ言葉。
「情け」がない、とは異なる感情だ。
自分自身を内省し、振り返ったとき、
自分で、自分を叱責し、努力の足りなさを悔いる。
そういう状況で出てくる言葉だ。


方法はわかっているのだが、
そのように行動できない。
法律が、場所が、時代が、お金が...
さまざまの要因が重なって、思うように行動できない。
情けない自分を感じる。


惨(みじ)めと近い言葉だ。
無力感に苛(さいな)まされたときに発する感情。
情けない。
なんともできないため息に似た気持ち。
できない、できない...
とても情けない。


助けることができない。
社会が軋(きし)み、貧困が、諍(いさか)いが、
あらゆる所で、常に起こっている。
その現象を見たり、聞いたりしながら、
何もできない自分がいる。
情けない。
無力感が、ため息の発端となる。
無力だ、ということでもないのだが。
万策が尽きたような、方法を見つけることができずに呻吟する。
そうして情けないと、感ずる。


結果として、仕方ないと続く。
何もできない。
情けない。
仕方ない。
この流れの、いまを表す感情のようだ。
情けない自分を見つめ、振り返ったとき、
仕方なかったと自省する。


あきらかに、あるがままの生き方とは異なる。
「あるがまま」に生きていれば、
情けなく思うことはないだろう。
いま在る自分を、評価する必要などないわけだから。


情けないと思う自分がいる。
情けないと思う自分を、見つめている自分もいる。
それぞれを、あるがままに見つめると、
それが道(タオ)になる。
自分が、自分のいまを、知った瞬間だった。