30年前

ほぼ、30年になる。
明確な考えもないまま、
ただ、中国語を学びたいとの思いで、旅立った。
特別な計画もないまま、約1年。
いま思えば、この滞在ですべてが変わった。



師範大学の中国語教室に通う。
6人程度のクラスで、毎日2時間、
難しい中国語の発音と格闘した。


この間、滞在先を3回ほど変えた。
始めは、6人部屋のユースホステルみたいな所。
次は、陽明山の簡易宿泊所
最後は、大学近くの下宿屋に間借りした。
それぞれが、面白い出会いでいっぱいだ。


三番目の宿とした場所が、
わたしの人生を、大きく変えることになった。
ここの大家さんは、台湾の人と一緒になった日本出身の方。
この方に、大いに(?)気に入られ、
家族の一人みたいな、もてなしを受けた。



当時、すでに30歳を超えており、
これから何をするかも決めないまま、
漠然と中国語を学んでいる身だったが、
あれこれと、将来のことについて気を遣ってくださった。
そして、ある日、一人の女性を紹介されたのだった。


結論から言えば、この女性が、現パートナー。
下宿から、ほんの数分の所に住んでおり、
旅行会社の添乗員で、
最近行った日本の旅行で、世話になったと。
無職の自分に、そんな資格はないと考えながらも、
もしかしたら、これも何かの縁なのではと、考える自分がいた。


こうした思い出いっぱいの場所に、
30年ぶりに、戻ってきている。
滞在先は、パートナーが以前住んでいた、お姉さんの家だ。
昨日も、一人で学生街をぶらついた。
ほとんどが変わってしまったお店の中に、
昔見たようなお店が、何件かあった。



30年。
長いのか、短いのか。
ただ、ここに戻ると、30年前の自分が居る。
そして、30年が経った自分も居る。
ちょうど、これからを考えている状況で、だ。


今回は、二週間ほどの滞在。
旅は、はじまったばかり。
ほとんど計画なしに動いた今回だが、
振り返ってみると、
予定されていたような感じが、しないでもない。
絶妙な天の采配とでも言うのだろう。
感謝して、じっくりと考えることにしよう。